【 素敵なお話 】

貧しいお母さんは毎日、市場で肉まんを売っていました。

美術学校に通う娘のために、一日も休まず・・・・・・

ある日、娘が学校から帰る時間になっても雨が降り止む気配がありません。

お母さんは、急いでカサを持って学校に走りました。

あまり急いでいたため、古びたぞうり、貧しい格好、汚れたエプロン姿のままでした。

授業の終わるのを待っていましたが、時々窓からのぞく娘は、みっともない母の姿を恥ずかしがっているみたいでした。

お母さんは肩を落として、一人で帰っていきました。

一ヵ月後、娘は「お母さん、学校で展覧会があるの。私の絵も展示されているから見に来てね」と言いました。でもお母さんは娘が恥ずかしい思いをするだろうと思い、行かないことにしました。

しかし当日になって、時間ぎりぎりに誰もいなくなった教室に入り、娘の絵をさがしました。

一つの絵が目に飛び込んできました。

母の目にみるみる涙が溢れました。

その絵には「世界でいちばん美しい姿」と書いてありました。

雨の中、汚れたエプロンでカサを持ってたたずんでいる自分の姿でした。

いつの間にか娘が寄り添っていました。

世界でいちばん幸せな姿でした。

「世界でいちばん大切な思い」東洋経済出版社 (企画:パク・インシク 文・構成:イ・ミエ 訳:笛木優子)

子どもはお母さんが大好きです。お母さんも子どもが大好きです。

そんな素直な気持ちをありのままに表現できたらどんなにすばらしいでしょう。

子どもを抱きしめたり、おんぶしたり、くすぐったり、その子の成長を体と体の直接的な触れ合いを通して確認できる時間は、そう永くはありません。

目の前にいる子ども達を今この瞬間に、思い切り抱きしめ、その感触、匂い、まなざし、笑顔、声をしっかりと記憶に留めておきたい。

卒園までの残り少ない日々、そんなことを思う今日この頃です。